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多肉植物がかかりやすい病気とは?原因と対処法を解説

「いつの間にか多肉植物が変色してる」

「なんとなく元気がない」

個性的で可愛らしい見た目の多肉植物は、室内でも育てられることからインテリアとしても人気です。

水やりの頻度が少なく済み、育てやすいことも人気の理由ですが、他の植物同様、病気にかかってしまうこともあります。

今回の記事では、多肉植物がかかる病気の種類と、万が一病気になってしまった時の対処方法を紹介していきます。

予防方法にも触れていくので、この記事を最後まで読めば多肉植物の健康を保つヒントが得られるでしょう。

多肉植物の病気の原因はカビ・細菌・ウイルス

多肉植物の病気の原因はカビ・細菌・ウイルス

多肉植物が病気にかかる原因は3つあり、カビ・細菌・ウイルスによって引き起こされます。

もともと、アフリカや南米などの乾燥地帯で育つ多肉植物は頑健で、ある程度放っておいても健康的に育ってくれます。

しかし、湿度の高い日本ではカビが発生することも多く、多肉植物がかかる病気の原因で最も多いのは「カビ」なのです。

また、ウイルスや細菌によって病気が引き起こされることがあり、これらの発生原因は育てる環境によっても変わります。

大事に育てていてもかかってしまうことはあるので、大切なのは早めに発見してあげ、適切な対処を行うことです。

そのためにも、定期的に多肉植物の状態を観察しておきましょう。

多肉植物がかかりやすい病気

多肉植物がかかりやすい病気

植物の病気に関わる微生物の種類は約7,000種とも言われています。そう聞くと対処が難しいように感じますが、多肉植物がかかりやすい病気は6種類ほどです。

かかりやすい病気も多肉植物の種類によって異なるので、病気の原因となる条件をある程度絞り込むことで対処が可能です。

ここでは多肉植物がかかりやすい病気と、かかりやすい多肉植物の種類、対処方法を紹介します。

うどん粉病

うどん粉病はウドンコカビ科の糸状菌が原因で起こる、多くの植物がかかる病気です。うどん粉病のカビは4月から11月に発生し、乾燥した日陰を好む性質があります。

うどん粉病にかかると、葉や茎に白い斑点が付き、症状が進むごとに斑点がどんどん広がっていきます。

白い斑点が発生した部分は光合成が阻害され、必要な栄養素を生成できなくなってしまいます。

そのため、放置したままにしておくと、多肉植物を枯らしてしまいます。

対処方法

うどん粉病にかかり白い斑点のできてしまった葉や茎は元に戻すことができず、また枯れてしまった部分も治すことはできません。

そのままにしておくと健康な部分や他の植物にも移るので、切除しカビの胞子が舞わないように袋に入れて封をしめてから処分します。

残った葉と茎には殺菌剤を散布し再発を防ぎます。葉が茂ると発生しやすくなるので、一度かかった多肉植物は殺菌したハサミで剪定してあげましょう。

うどん粉病にかかりやすい種類

  • セダム
  • アガベ

灰色かび病

灰色かび病は、ボトリチス属菌が原因で起こる病気です。そのため、ボトリチス病とも呼ばれています。

灰色かび病にかかると葉や茎が灰色のカビで覆われます。20℃前後の多湿な環境で発生しやすく、冬から春の時期にかけて起こりやすい病気です。

症状が進むと、灰色の部分が広がりやがては枯れてしまいます。

多肉植物が弱っているときや栄養が足りていないときに起こるので、植え替えの直後などは注意して観察し、見つけたら早めに対処します。

対処方法

カビができてしまった部分は元に戻らないので、他に移らないように見つけ次第早めに切除します。残った部分には、葉の裏まで丁寧に殺菌剤を散布します。

多湿な環境で繁殖しやすく、日照時間が確保でき、風通しの良いところに置いてあげることで再発を防げます。

灰色かび病にかかりやすい種類

  • メセン(リトープス・コノフィツム)
  • ハオルチア
  • エケベリア

さび病

さび病はプクシニア属の糸状菌が引き起こす病気です。

さび病にかかると葉や茎に茶色のさびのような斑点ができ、ひどくなると斑点が盛り上がり弾けることによって周囲に胞子を撒きちらします。

そのため、他の場所や植物にも伝染してしまうことがあり、早急な対処が必要です。

20〜30℃の湿度の高い環境で繁殖し、日本では5月〜6月に発生します。

対処方法

カビが原因の病気は、カビが発生した部分が元に戻ることはありません。さび病は放置しておくと、周りに菌が飛び火するので発見次第その部分を切除します。

葉が重なっていると発生しやすいので、茂ってきた葉は剪定し、接近剤を散布して再発を防止します。

多肉植物が弱っている時に起こりやすく、肥料を用いて丈夫に育ててあげることで発生を防げます。

さび病にかかりやすい種類

  • クラッスラ
  • サボテン

軟腐病(なんぷ病)

軟腐病は、細菌が多肉植物に入り込むことによって起きる病気です。

軟腐病にかかると土に近い部分から柔らかくなり、徐々に腐っていきます。やがては葉もブヨブヨになって異臭を放つようになり、多肉植物を枯らしてしまいます。

25〜30℃の湿度の高い環境で起こりやすく、5月から10月にかけて注意の必要な病気です。

対処方法

軟腐病にかかってしまうと、そこから治す方法はありません。そのため、かからないようにすることが大切です。

軟腐病は土の中にある細菌が、多肉植物の傷口から侵入することによって起こります。

植え替え作業などの際に、根を傷つけてしまった場合は、傷口が塞がるまで乾燥させてから新しい土に植え替えることで防げます。

多肉植物に傷がついたら水やりを控え、傷口を乾燥させるということを覚えておきましょう。

軟腐病にかかりやすい種類

  • 多肉植物全般

ウイルス病・モザイク病

アブラムシなど植物につく害虫を媒介してウイルス感染することで起こるウイルス病は、葉にモザイクのようなマダラ模様ができることからモザイク病とも呼ばれています。

多肉植物以外の植物にもかかり、かかった植物から虫にウイルスが移ることでさまざまな植物に伝染します。

25〜30℃の乾燥した時期に発生するので、秋から冬にかけて室内で育てている場合は注意が必要です。

対処方法

一度ウイルス病にかかってしまうと、対処方法はありません。

多肉植物に付くことの多いアブラムシを媒介にして感染するので、見つけたらすぐに取り除くか、アブラムシがつかないようにベニカXファインスプレーなどの駆除剤を用いて予防します。

まれに、ウイルスに感染している植物を切断したハサミにウイルスが付着してしまい、ハサミから感染するケースもあります。剪定する際は、ハサミを熱湯消毒してから使用しましょう。

ウイルス病・モザイク病にかかりやすい種類

  • 多肉植物全般

黒点病(黒星病)

黒点病は、糸状菌が原因で起こる病気です。

多肉植物以外にも起こり、特にバラがかかることの多い病気です。バラの場合は葉が落ち株を弱らせますが枯れることは多くありません。

ただし、多肉植物の場合は深刻な状態になることもあり、黒い斑点が徐々に全体におよび葉が枯れ、株を衰弱させます。

かかる多肉植物は一部ですが、近くで育てている多肉植物にも伝染する可能性もあります。

対処方法

黒い斑点のついた部分は元に戻らないので、殺菌したハサミで切除します。

カビが原因の病気は、カビの胞子が他の葉に付着することで広がっていくので、切除した葉は他の部分に触れないように注意しましょう。

湿度を好むので、日当たりと風通しの良い場所で育てることが大切です。

黒点病(黒星病)にかかりやすい種類

  • エケベリア
  • クラッスラ
  • アエオニウム
  • センペルビウム

病気になった多肉植物は仕立て直す

病気になった多肉植物は仕立て直す

病気によって弱った多肉植物の見た目を整え、健康的な状態に戻すことを「仕立て直し」と言います。

病気を早期発見でき、早い段階で対処できたのであれば患部を取り除くだけですむケースもあります。

しかし、多くの葉が欠損してしまったり、茎に症状が進んでしまった場合は仕立て直しが必要になります。

葉挿し、挿し木、胴切りで復活させる

仕立て直しは、葉挿しや挿し木することでも可能です。

一部の多肉植物は葉挿しや挿し木で増やすことができ、葉挿しや挿し木で増えた多肉植物は親株の性質をそのまま引き継ぎます。

今ある株が病気によって枯れる危険性が高い場合は、健康的な葉や茎を使って繁殖させましょう。

茎の根元が無事な場合は胴切りによって、復活することもあります。胴切りとは、多肉植物の茎をカットすることをいいます。カットした茎からは新しい芽が出てきますし、カットした部分も葉挿しなどで増やすことができます。

胴切りは病気になった部分よりも根元を、消毒したハサミでカットします。

この時に、健康的な葉を残しておくことで、光合成ができるようになり復活する可能性も高くなります。

病気になった葉や茎は、健康的な部分や土に落ちないように丁寧に作業を行います。

清潔な土に植え替える

仕立て直しをした多肉植物は、植え替えを行いましょう。

今ある土には、病気の原因となったカビや細菌、ウイルスが残っている場合も多く、同じ土で育ててしまうと同じ病気にかかってしまう危険があります。

軽度の症状だったものでも、可能であれば植え替えを行った方が安心です。

また、いずれの作業の際も清潔な道具を使用して行います。特にハサミは消毒したものを用いましょう。

多肉植物の病気を予防するには?

多肉植物の病気を予防するには?

多肉植物は病気にかかると深刻な状況になることも多く、あらかじめ予防してあげることが大切です。

成育タイプに合わせた、適切な環境で育て良い健康状態を保つことが最も重要です。多肉植物が弱っている状態では病気にかかりやすくなります。

また殺菌剤と組み合わせることで、更なる予防も可能です。

殺菌剤で病気予防

殺菌剤は多肉植物に発生するカビを抑える効果があります。

殺虫剤と殺菌剤の違いは、殺虫剤は虫を発見次第使用し虫を媒体としてかかるウイルスなどを防ぎますが、殺菌剤は予防的に散布します。

発見後に使用しても効果が薄いので、あらかじめ散布しておくのが効果的です。

初心者にはベニカXスプレー、ベニカXファインスプレーがおすすめです。スプレータイプなので、そのまま多肉植物に吹きかけて使用できます。

代表的な殺菌剤

  • サプロール乳剤
    多肉植物の病気の発生予防と治療に効果のある殺菌剤。特にさび病に効果的。
  • オーソサイド水和剤
    黒星病や灰色かび病の予防に用いられる殺菌剤。ただし、治療の効果はありません。
  • ベンレート水和剤
    うどこん粉病、さび病、黒星病、灰色かび病などカビが原因で起こる病気の予防に効果を発揮。

病気のほかにも気をつけたいトラブル

病気のほかにも気をつけたいトラブル

外的な要因で起こる病気以外にも、多肉植物は育つ環境によって健康状態を損なうことがあります。

多肉植物に起こる代表的なトラブルを紹介していきます。

根腐れ

根が常にぬれた状態になってしまい、酸素を吸収できなくなることで植物が枯れてしまう症状です。

多肉植物は本来乾燥を好む種類が多く、水のやり過ぎによって起こります。

発生を防ぐためには、成育型にあった適切な水やりを行いましょう。

葉焼け・日焼け

葉の一部が焼けたように枯れてしまう症状です。

多肉植物においては、直射日光に長時間当てることで起こります。暑い地域で育つ多肉植物ですが、日本のなつが苦手な種類もあります。

特に真夏の直射日光にさらすのは控えた方が良いでしょう。

凍傷

多肉植物は葉の中に多くの水分を蓄えるので、育てる環境によっては凍ってしまうこともあります。

一度凍ってしまうと、溶けても葉はブヨブヨの状態になり徐々に腐ってしまいます。

徒長

土の中の水分が多く、十分な日に当てていないと、日光を求めて苗が伸び徒長が起きることもあります。

徒長が起きてしまうと、茎が細くなり健康的な成長を阻害します。

徒長をカットすることで対処が可能ですが、風通しと日当たりの良い場所においてあげましょう。

まとめ

まとめ

多肉植物に起こる病気の種類を紹介してきました。

多肉植物の病気は主にカビによって引き起こされます。カビの抑制には多肉植物に適した育成と、殺菌剤の予防散布が必要です。

カビが原因の病気にかかってしまっても、患部を取り除いて仕立て直しをすることで、健康的な状態に復活可能です。

ただし、ウイルス性、細菌性のものは一度感染してしまうと取り返しがつかないこともあるので、事前の予防と対策が重要です。

ウイルスを媒介する害虫がついた場合は早めに駆除し、傷がついてしまった場合は十分に乾燥させることで病気にかかるリスクを減らせます。

病気を予防して、健康的に多肉植物を育ててください。

※情報の取り扱いには十分に注意し、確認した上で掲載しておりますが、その正確性、妥当性、適法性、目的適合性等いかなる保証もいたしません。
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サクラ@PUKURI編集部

サクラ@PUKURI編集部

多肉植物愛好家

PUKURI編集部のサクラです。論文や専門家のノウハウを基に多肉ライフに役立つ情報をお届けします。

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