「多肉植物の一部が細く伸びて見た目が悪い」
「茎が伸びてきているが細く弱々しい」
このように、多肉植物の茎が無駄に伸びてしまうことを「徒長(とちょう)」と呼びます。
今回は多肉植物に徒長が起こる原因について解説し、徒長してしまった時の対処法や、仕立て直しの方法についてお話していきます。
この記事を最後まで読めば、徒長によって伸びすぎてしまった多肉植物の見た目や健康状態を、自分でも改善できるようになります。
多肉植物が伸びすぎる「徒長」とは?
徒長とは、必要以上に茎がひょろっと細長く伸びすぎてしまい、葉と葉の感覚が空いてしまった状態のことをいいます。
徒長はどの植物にも起こりますが、多肉植物は見た目がわかりやすく変化します。一見、植物の成長のようにも見られます。本来の健康的な状態であれば、しっかりとした茎が生えてくる一方で、徒長は細くひ弱な茎が伸びます。
また、徒長が起きると健康面でもデメリットがあります。徒長すると、植物自体の免疫が低下し、虫がつきやすくなったり病気にもかかりやすくなってしまいます。
多肉植物の徒長の原因
多肉植物に適した環境で管理できていないと徒長が発生します。
具体的には以下の3点のうち、いずれかが欠けることで徒長は起こります。
不足すると徒長の原因になる要素
- 日当たり
- 適切な水やり
- 適切な栄養
それぞれ詳しく解説していくので、育てている多肉植物の育成環境に当てはまることがないかチェックしてみましょう。
日照不足
徒長のいちばんの原因は日照不足です。
植物は光合成をするために、日の光を必要とします。そのため、日の光が十分得られないと、日光に当たろうと新たな茎を伸ばそうとします。
しかし、もともと日が当たらない状態だったため、上手に光合成ができずに栄養が不足して、ひょろっと長細く弱々しい伸び方になってしまうのです。
風通しがよく、明るい場所で育ててあげる必要があります。
水のやりすぎ
日照不足と合わせて水のやりすぎも徒長の原因です。
多肉植物はもともと乾燥した土地で自生しており、長期の断水に耐えられるように葉に水分をため込む性質があります。
そのため、水をやりすぎると葉が張り、茎だけが細く伸びてしまいます。
水やりの頻度は成育期には週に1回程度、緩慢期には2週間に1回、休眠期には1カ月に1回もしくは断水するくらいで十分です。
その分、1回の水やりでたっぷりの水を与えましょう。
栄養過多・栄養不足
栄養不足によっても徒長は起こりますが、もともと多肉植物は砂漠などの過酷な環境でも育つ植物なので、必要以上に栄養を与えることでも徒長は起こります。
過剰に栄養を与えると、多肉植物の自然な成長スピードを早めることになり、結果として徒長の原因になります。
肥料など与える場合は、正しい容量を守って成育期に与えるようにします。
多肉植物が伸びすぎるデメリット
徒長した場合でも、すぐに枯れてしまうことはありません。
しかし、徒長が起きるということは多肉植物の健康が損なわれている状態なので、虫や細菌に対する抵抗力が弱まり病気にかかりやすくなります。
また、新しく健康な茎が伸びなくなってしまったり、細く伸びた部分は折れてしまったりというデメリットもあります。
伸びすぎた多肉植物は切って仕立て直す
徒長によって見た目や状態が悪くなってしまったとき、茎を切り戻してきれいな状態に直すことを「仕立て直し」といいます。
多肉植物は生命力が強いため再生能力も高く、健康な部分をのこして剪定することで再生が可能です。
多肉植物の種類や形によって仕立て直しの方法は変わるので、それぞれ紹介していきます。
茎が長い多肉植物は切り戻す
茎が細く長く伸びてしまったものは枝を切り戻します。
徒長した部分を3〜5cmほどを切り取り、健康的な成長を促します。
セダムやクラッスラなど茎の長い品種に活用できる方法です。また、切り取った部分は挿し木で増やすこともできます。
茎が太い多肉植物は胴切りをする
茎が太い多肉植物は、健康的な部分を残して胴切りを行います。
胴切りを行うときは、切りやすいように切る部分の葉を除きましょう。除いた葉は、葉挿しで増やすことも可能なので大切にとっておきましょう。
エケベリア、センペルビウムは茎が太く胴切りが有効です。
切った多肉植物を挿し木にする
切断した多肉植物は、挿し木にして株を増やすこともできます。
切った茎は下の方の葉を2、3枚取り除きます。葉を取り除かない状態で挿し木を行うと、土に埋もれた部分の葉が腐り、植物全体を腐らせてしまう可能性があります。
葉を取り除いたら、3日ほど風通しの良い日陰でよく乾燥させ傷口をふさぎつつ、発根を促します。
寝かせて乾燥させると変形を起こしやすいため、ペットボトル等を活用して茎を立てた状態で乾燥させるのがおすすめです。
数日経過し、茎が発根したら、鉢に植え替えてあげましょう。
下葉は葉挿しにする
多肉植物は、茎でなく葉だけでも株を増やせます。
取り除いた葉はよく乾燥させ、土の上に置いておくと、葉と茎の付け根だった部分に発根します。
作業中に葉を傷つけてしまうと、うまく育たなかったり腐らせてしまったりする場合があるので、慎重に取り扱いましょう。
親株から新芽が出ることもある
生命力の強い多肉植物は、切断した後も育てる環境を改善することで、親株の茎や葉を取り除いた部分から新芽が出ることもあります。
徒長してしまった茎や、弱ったり病気になってしまった部分はそのままにしておくと被害が広がってしまうため、早めに取り除きます。
うまく環境を整えられていれば、取り除いた部分から1週間から2週間ほどで新しい芽が生えてきます。
多肉植物を仕立て直す時期
多肉植物を仕立て直すときは、成育期に合わせて仕立て直しを行うと良いでしょう。多肉植物の種類によって成育期は異なり、春秋型、夏型、冬型の3つに分類されます。
成育型 | 成育期 |
---|---|
春秋型 | 3月〜5月 |
夏型 | 5月〜6月 |
冬型 | 10月〜11月 |
反対に休眠期や緩慢期に仕立て直しを行なってしまうと、傷口がうまく再生できず枯らしてしまうリスクも高まります。
まとめ
多肉植物の徒長を防ぐには、健康に成長できる環境を整えてあげることが大切です。
多肉植物の徒長の原因
- 日照不足
- 水のやりすぎ
- 栄養過多・栄養不足
以上のことに注意して管理を行うと良いでしょう。
徒長してしまった場合は、仕立て直しを行ない、見た目を整えて日当たりや水やりの頻度などを見直して、多肉植物にとって適切な環境を整えます。
茎の長い多肉植物は徒長した部分を切り戻し、茎の太い種類は胴切りを行います。
仕立て直し中に切断した茎や葉を利用して、挿し木や葉挿しで多肉植物を繁殖させることも可能です。
増えた多肉植物で寄せ植えを作るのもおすすめの楽しみ方です。
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