「多肉植物に植え替えって必要なの?」
「水やりや管理は適切なのに元気がない気がする」
多肉植物を育て始めてしばらく経って、元気に育ってくれているけど、最近なんだか様子がおかしい。なんとなく元気がない気がするし、茎から根が生えてきた。
そんなことに気がついた人は、しばらく植え替えを行っていないのではありませんか?
小さくかわいらしい多肉植物も、成長に合わせて植え替えが必要になります。
今回の記事では、多肉植物に植え替えが必要な理由をお話しし、多肉植物に適切な植え替え時期と、植え替え方法について紹介していきます。
この記事を最後まで読めば、自分でも多肉植物の植え替えができるようになりますよ。
多肉植物に植え替えが必要な理由
では、なぜ多肉植物は植え替えが必要なのでしょうか?
多肉植物を植え替える目的は、健康に成育させることです。
多肉植物を同じ土で長く育てていると、徐々に土が細かくなり鉢の中の密度が増します。すると、水はけが悪くなり湿度の苦手な多肉植物にとって良い環境を保てなくなります。
また、多肉植物の根が成長することで今使っている鉢に根が収まりきらなくなり、根詰まりを起こしてしまいます。
湿気と根詰まりはどちらも枯れてしまう原因になるので、健康に育てるためには良い状態の土とサイズに合った鉢に植え替えてあげる必要があるのです。
多肉植物の植え替えの時期
多肉植物は種類によって植え替えの時期が異なります。多肉植物は暑い時期に成長する「夏型」寒い時期に成長する冬型、そして人間が過ごしやすいと感じる季節に成長する「春秋型」の3つの「生育型」に分けられます。
植え替え時期は、多肉植物の生育型に合わせて行う必要があります。頻度と具体的な時期を詳しく説明していきます。
定期的な植え替えがおすすめ
多肉植物になんらかの変化がおき、必要にかられて植え替えを行うこともありますが、時期を決めて定期的に植え替えをしてあげるのがおすすめです。
小苗は1〜2年に1回、大株は2〜3年に1回を目安に植え替えを行います。
シーズンによっては植え替えに適さないこともあるので、何かトラブルがおきてすぐに植え替えをしたいと思ってもしばらくできない場合もあります。
そのため、植え替えを行う時期を決めて定期的に行うことで、根詰まりなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
植え替えをする季節は「成長期」の前
多肉植物の生育期には、3つのサイクルがあります。
多肉植物が大きく成長する「成長期」、成長をお休みする「休眠期」、成長期と休眠期の間の「緩慢期」に分けられ、時期によって扱い方も変わってきます。
植え替えは成長が活発になる「成長期」に合わせて行います。それぞれの生育期に合わせた植え替え時期を一覧にしました。
春秋型…3〜5月、10〜11月
夏型…4〜6月、9〜10月
冬型…11〜12月、2〜3月
緩慢期や休眠期に植え替えを行うと根が弱りやすく、作業中に傷つけてしまった場合は治りも遅くなるので、あらかじめ成長期に合わせて植え替えの時期を決めておきましょう。
多肉植物の植え替えのサイン
基本的には予定を決めて、定期的に植え替えを行うことをおすすめしますが、多肉植物の状態によっては早めの植え替えが必要になる場合もあります。
植え替えの必要な多肉植物のサインを紹介します。
元気がない
多肉植物に元気がなく、ひび割れた土の上に葉が落ちている状態に気がついたら植え替えのタイミングです。
土の中で、根が成長しすぎて今の鉢には合わなくなっている可能性があります。もし1年以上植え替えをしておらず、適切に水をあげているのに元気がないという時は植え替えを行いましょう。
根詰まりしている
土の中で根が成長しすぎると、根詰まりを起こすこともあります。
根詰まりとは、鉢の中に根が収まりきらなくなった状態のことを言い、根同士が絡み合って傷ついてしまいます。
また、根が増えることによって土の中の酸素が減ると「嫌気性菌」が発生します。この嫌気性菌は根腐れを引き起こし、多肉植物を枯らしてしまいます。
根詰まりは、土の状態も変えてしまうので早めの植え替えが必要です。
鉢の底から根が出てきた
根詰まりを外から見分ける方法もお伝えします。
鉢の底から多肉植物の根がはみ出している場合、中で根詰まりを起こしている可能性があります。
多肉植物の根は成長するごとに、新たな土を求めて放射状に広がっていきます。土の外にも飛び出してしまうこともあり、鉢の大きさが足りなくなったサインです。早めに植え替えを行いましょう。
茎から根が生えてきた
根詰まりを起こすと根っこが茎から生えてくることもあります。
これは「気根(きこん)」と呼ばれ、空気中の酸素を求めて糸のような細い根が茎から生えてきます。
気根が発生する原因は主に3つです。
- 空気中の湿度が高い
- 土の中の水分が少ない(水やりが十分ではない)
- 根詰まりを起こし土の中の酸素が少ない
湿度や水やりが適切にもかかわらず、気根が発生している場合は、根詰まりを起こしている可能性が高くなります。
葉が枯れてきた
根詰まりを起こすと、葉が枯れることもあります。
根詰まりを起こすと、十分に酸素や水分、栄養が供給されなくなり、新しくできた下の葉が枯れてしまったり、色が今までと違って生えてきたりということが起こります。
そのほかにも、これまでと比較して成長が遅い、花が咲かないなどのトラブルも起こります。
多肉植物の植え替える前の準備
実際に植え替えを行う前に、準備も必要です。
土を乾燥させる
多肉植物の植え替えを行う1週間前ほどから、断水します。
土が湿っていると、根をうまくほぐせずにちぎれてしまう危険があります。特に根詰まりを起こしている場合は、根同士が絡み合っているので傷つけるリスクが高まります。
断水中は十分に風通しの良い場所に置き、乾燥させてから作業を行うようにしましょう。
鉢・土を用意する
植え替えに使用する新しい鉢と土は事前に用意しておきます。
鉢
鉢は今使っているものよりも、一回り大きいものを用意します。具体的には今3号鉢を使っているのであれば、ワンサイズ大きな4号鉢を用意します。また、2年以上植え替えをしていない場合や、成長のスピードが早いと感じる場合は2サイズ大きいものを選びます。
土
多肉植物の土はホームセンターや園芸店、ネットショップでも購入可能な多肉植物専用の土を使用します。
もしくは自分でブレンドすることも可能です。多肉植物に使う土は基本用土と補助用土6:4もしくは7:3の割合でブレンドしましょう。
基本用土として使われるものは赤玉土、鹿沼土、軽石など。補助用土としては腐葉土、バーミキュライトなどがブレンド可能です。
初心者は赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3の割合がおすすめです。
また、水はけをよくするために鉢底ネットと鉢底石も必要です。
道具
そのほか、植え替えに必要な道具を一覧にしました。
- スコップ
- ピンセット
- はさみ
- バット
- 新聞紙もしくはブルーシート
はさみは根を切るために使用します。細かな作業も多いので、園芸用のピンセットもあると便利です。
作業中に周りを汚さないよう、バットや新聞紙、ブルーシートなども用意しておきましょう。
多肉植物を植え替える方法
事前の準備と、必要な道具がそろったら多肉植物を植え替えていきましょう。
作業を始める前に作業スペースに新聞紙やブルーシートを敷いておきましょう。今まで使っていた土は処分することになるので、作業後に一緒にまとめられる新聞紙がおすすめです。
不用意に土が飛び散らないように作業はバットの上で行います。
1.鉢から抜いて土を落とす
最初に多肉植物を鉢から抜き取ります。
十分に乾燥しているのであれば、比較的簡単にできますが根詰まりをしている場合抜けにくいこともあります。鉢を優しくたたいて振動を与えながら、鉢と土の間に隙間を作ります。隙間ができた部分にスコップやピンセットなど長細いものを差し込んで、ゆっくりと多肉植物を抜き取りましょう。
無事に鉢から抜けとれたら、優しく土をおとし、根をほぐしていきます。
2.傷んだ根、伸びすぎた根を切る
多肉植物の根の状態をチェックしていきます。
根が伸びすぎている場合、根の一部が傷んでいることもあります。傷んだ根は茶色や黒に変色してしまっているので、ピンセットやはさみを使って取り除きます。
根から雑菌が入ることを防ぐために、ピンセットやはさみは熱湯をかけて消毒をしておくと良いでしょう。
また、新しい鉢に入りきらない、伸びすぎた根も切っておきましょう。
3.根を乾かす
根切りをしたのち、1日から3日ほど直射日光の当たらないところにおいて、根を乾燥させます。
根切り直後は、カットした根の先端の傷口が露出しており、乾燥させて傷口をふさいでから植え替えを行います。
植え替え時は、普段以上に湿気に弱くそのまま植えてしまうと根腐れを起こす危険もあります。
4.新しい鉢に植える
多肉植物を乾燥させている間、植え替える鉢の用意を行いましょう。
鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石をおきます。鉢底石をおくことで、通気性や排水性がよくなり多肉植物が苦手とする湿気をため込みにくくなります。
次に多肉植物用にブレンドした土を鉢の4分の1ほど入れていきます。だいたい、鉢底石が隠れるくらいが目安です。
乾燥させた多肉植物を土の上に置き、スコップを使って多肉植物と鉢の隙間を埋めるように土を流し込んでいきます。
最後にピンセットなどを使って土の凹凸の表面をなじませて完成です。
鉢いっぱいに土をもってしまうと、水やりの時に水があふれてしまうので、鉢の口から1〜2センチ下くらいがちょうど良い量です。
多肉植物の植え替えを失敗しないコツ
多肉植物の植え替えにはいくつか注意すべき点があります。ここでは失敗しないためのコツについて紹介していきます。
植え替え後は水やりをしない
植え替え直後は、水やりを控えましょう。
まだ土に根がなじんでいない状態で水やりを行うと、根がうまく水分を吸収できず根腐れの原因になります。
そのため、植え替え後1週間から10日ほどの時間をおいてから水やりを行うようにしましょう。
植え替え後は日光を避ける
植え替え直後は、日光が当たらない場所においてあげましょう。
植え替え後は、根をいじられることにより、多くの負荷とストレスがかかっている状態です。植え替えてすぐに光合成をさせてしまうと急激に弱る原因にもなります。
肥料は不要
植え替え後すぐに肥料を与えてしまうと、肥料焼けを起こすことがあるので与えないようにします。
肥料焼けとは、弱っている株に肥料を与えてしまうことで起きる症状で、多肉植物全体が急激に萎れ、葉が焼けるように枯れていきます。
植え替え後は多肉植物にとって養生期間にあたるので、その間は手を加えず、経過を見守ることが大切です。
根が太い種類の根は切らない
植え替えの際に、根を切ってはいけない多肉植物も存在します。
アガベ、カランコエ、ハオルチアなど根が太い種類の多肉植物は根切りをしてしまうと、枯れてしまいます。
根が太いタイプの多肉植物は根をカットしてしまうと、うまく傷口をふさげないこともあり、そこから根腐れを起こしてしまいます。
また、根の乾燥を嫌うので抜き取った後の乾燥期間を設けずにすぐに植え替えを行います。
太根の多肉植物の一部を紹介しておきます。
根の太い多肉植物 |
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アロエ、カランコエ、ガステリア、ハオルチア、アガベ、セネシオなど |
まとめ
多肉植物の植え替え方法について紹介してきました。
最後に要点をまとめます。
- 定期的に植え替えは行う
- 多肉植物の成長期に合わせて植え時期を決める
- 植え替えが必要なサインを見つける
- 植え替え前は断水し土を乾燥させる
- 植え替え直後は手を加えない
- 太根の多肉植物は根切りをしない
以上の点を踏まえて、多肉植物の植え替えに挑戦してみてください。
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