「多肉植物を育ててみたい」
「育てるのが難しいって聞くけど本当?」
多肉植物は観葉植物の中でも育て方にコツの必要な植物です。
何も知らないまま、他の観葉植物と同じ感覚で育ててしまうと、健康的に育てることができません。
また、非常に種類も豊富で現存しているものは20,000種類以上と言われており、それぞれ微妙に育て方が異なります。
もちろん、なかには初心者にも育てやすい多肉植物もあります。そこで今回は、初心者が育てやすい多肉植物を10種類紹介していきます。
この記事を読めば、簡単な知識だけで多肉植物の成育を楽しめるようになるでしょう。
初心者でも失敗しない!多肉植物の育て方の基本
初心者向けの多肉植物の種類を学ぶ前に、多肉植物に共通した育て方の基本的な知識を得ておきましょう。
といっても、特に難しいことはありません。
大切なのは、多肉植物の種類によって違う「成育タイプ」を知っておくことです。
成育タイプごとに異なる水やりのタイミングや、季節ごとに変わる環境の整え方などを押さえておくことで、ほとんどの多肉植物を健康に育てることができます。
逆に基本的な育て方を押さえておかないと、初心者向けの種類であっても枯らしてしまうことがあります。最低限知っておくべきポイントに絞ってお話するので、多肉植物を育てる前に必ずチェックしておいてください。
多肉植物の3つの成育タイプ
多肉植物には「成育タイプ」というものがあります。
多肉植物は季節によって成長期、緩慢期、休眠期と呼ばれるサイクルを繰り返します。多肉植物の種類ごとに成長期の季節が異なり、その違いを分類したものが成育タイプです。
成育タイプには夏型、冬型、そして春秋型の3種類があります。基本的には成長期には水を与え、緩慢期には少なめに、休眠期には断水する場合もあります。
休眠期は多肉植物にはあまり手を加えないことが大切です。
生育型 | 成長期 | 緩慢期 | 休眠期 |
---|---|---|---|
夏型 | 4〜6月、9〜10月 | 3月、11月 | 7〜8月、12月〜2月 |
冬型 | 11〜12月、2〜3月 | 1月、4月、10月 | 5〜9月 |
春秋型 | 3〜5月、10〜11月 | 6月、9月、12月、2月 | 7〜8月、12〜2月 |
日当たりと風通しに気をつければ室内でも育つ
多肉植物は、室内でも育てることが可能です。
本来、多肉植物の原種は屋外の乾燥した土地で育つため、多くの種類は湿度に弱いことが特徴です。
そのため、室内で育てる場合は風通しと日当たりの良い場所においてあげましょう。特に成長期には週に一度たっぷりと水やりを行いますが、その後はしっかりと乾燥できるような場所におくことが大切です。
ただし、日本の真夏の直射日光は多肉植物にとっては強烈すぎるので、夏型の成育タイプのものであっても暑い時期に長時間、日に当てるのは避けましょう。
根腐れにも注意!
多肉植物に水をやりすぎてしまうと、根腐れの危険があります。
もともと湿度に弱い多肉植物は根腐れを起こしやすく、初心者が多肉植物を枯らしてしまう原因のほとんどが、水のやりすぎによる根腐れです。
生育期には3日〜1週間に1回くらいのペースで水やりを行いますが、緩慢期は2週間に1回、休眠期には1カ月に1回もしくは断水しましょう。
初心者にも育てやすい多肉植物の選び方
多肉植物に関する基本を学んだら、いよいよ育てやすい多肉植物をチョイスしていきます。
育てやすい多肉植物を選ぶ際は、環境に適した成育型であること、元気な株を選ぶことが大切です。
初心者向けの育てやすい種類であっても、栽培する環境と成育型の相性が悪かったり、不健康な株を選んでしまったりすると上手に育てることはできません。
それぞれの見極め方を詳しくお話ししていきます。
栽培する場所に合った生育型を選ぶ
普段、多肉植物を置く環境によって育てやすさも変わります。
室内で育てたいという人、暖かい地域に住んでいる人、寒い地域に住んでいる人など事情や場所が違うと育てやすい多肉植物も異なります。
夏型 | 20〜30℃の暖かな気温を好むので、室内の窓際や日の当たる場所に置いたままにできます。もともと熱帯地域に自生しており、多肉植物の中でも特に乾燥に強い成育タイプです。そのため、水やりを忘れてもすぐに枯れることはないので、手放しで育てたいという人におすすめです。 |
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冬型 | 5〜20℃の気温を好み、寒い地域に住んでいる人におすすめな多肉植物です。住んでいる地域や家が冷えやすい環境にある場合、ほとんどの多肉植物は休眠してしまいますが、冬型のものであれば元気に育ってくれます。夏場はなるべく涼しい場所においてあげましょう。 |
春秋型 | 10〜25℃の人間が過ごしやすいと感じる気温を好み、インテリアとして育てるのに最適な成育タイプです。 |
元気な株を選ぶ
同じ種類の多肉植物でも、なるべく健康的な株を選びましょう。
生活環境にぴったりな育てやすい種類を選んでも、もともとの株が不健康な場合は枯れてしまうこともあります。
多肉植物を選ぶ際は、以下の2点に注目して選びましょう。
多肉植物を選ぶポイント
- 葉がぷっくりと肉厚で色付きがいい
- 葉と葉の間が詰まっている
同じ種類であっても、売られている環境によって見た目も変わってきます。健康的な多肉植物は横から見た時に葉と葉の隙間がなく、むっちりとした見た目になります。
初心者におすすめの多肉植物10選
育てやすい多肉植物の具体的な種類を紹介していきます。育てやすさと、手に入りやすさを基準に厳選しています。
セダム
セダムは多肉植物の中でも、育てやすいこと、見た目が美しいことで人気のある種類です。
多くの種類はヨーロッパや中東に自生しており、一部は日本にも分布しています。私たちにとって身近な種類でもあり、特に販売されているものは暑さや寒さに強く初心者が育てるのにうってつけの多肉植物です。
420以上の種類がありますが、その中でも特に育てやすいものを紹介します。
黄麗(オウレイ)
成育タイプ:春秋型
セダム属の黄麗(オウレイ)は明るい月明かりを連想させるカラーになることから「月の王子」とも呼ばれる多肉植物です。
季節によってさまざまな色に変化し、グリーンやイエロー、オレンジなどさまざまな見た目が楽しめます。
乾燥や暑さに強く、日本の冬に対応できる頑強さを持っており、ほとんどの環境で健康的に育ってくれます。
虹の玉
成育タイプ:春秋型
セダム属の虹の玉(ニジノタマ)は、背の高い多肉植物で20cmほどの大きさまで成長します。
ダイナミックな見た目ながら、成長期には葉先が赤く色づく美しい種類です。暑さや寒さに強く、また虫もつきにくい種類のため育てやすく、初心者にもおすすめです。
ただし、湿度が高いとアブラムシやカイガラムシなどがつくこともあります。見つけたら早めに駆除し、十分に乾燥させてあげましょう。
エケベリア
バラのようなロゼット状の見た目が人気のエケベリアは、大小さまざまなサイズの種類がありバラエティ豊かな個性を楽しめます。
風通しと日当たりが良い場所を好むので、室内の明るい場所で育てるのに適しています。
初心者でも育てやすく、多肉植物らしい見た目から人気の種類です。
白ボタン(シロボタン)
成育タイプ:春秋型
エケベリアの一種、白ボタンは白牡丹とも書かれその名の通り牡丹の花を思わせるような美しい種類です。
葉に触れると指の跡がつくことから、繊細なイメージがありますが実際は屋外でも健康的に育ってくれる頑健さを持っています。
冬は葉先がピンク色になり、可愛らしい見た目になるので、多肉植物ファンなら一度は育ててみたい品種です。
花うらら
成育タイプ:春秋型
花うららは元の名前を「エケベリアプリドニス」といい、花うららは日本での流通名です。
メキシコの乾燥した土地に自生しており、ブルームと呼ばれる白い粉を葉にまとっています。ブルームは乾燥や雨から植物を守るためのものですが、赤い葉先とのコントラストが美しさも演出しています。
落ちた葉からも増やすことができる生命力の高さが魅力です。
ハオルシア
ハオルシアは100種類以上の種類があり、現在も品種の開発が進められて種類を増やし続けています。
ぷっくりとした大きな半透明の葉をもつ軟葉系とアロエのような葉の硬葉系の二種類に分かれます。葉の様子から健康状態を把握しやすいのも育てやすいポイントです。
水やりの頻度にコツが必要な多肉植物ですが、ハオルシアは葉がしわしわになったタイミングが水やりの合図です。
ハオルシア・オブツーサ
成育タイプ:春秋型
ハオルシア・オブツーサは日の光に透ける軟葉系に分類されます。
基本的には日当たりの良い場所で育てますが、多肉植物の中でも日陰に強いので室内でも健康的に育てることができます。
生命力が強いので、水やりを忘れてしまってしわしわになってしまっても、たっぷりと水をあげると元のぷっくりとした葉に戻ります。
十二の巻(じゅうにのまき)
成育タイプ:春秋型
ナイジェリアやエチオピア、中央アフリカから南アフリカにかけて自生する多肉植物の原種の一つです。
葉に独特の模様がついており、放射状に伸びていくダイナミックな見た目を楽しめる種類です。
硬葉系に分類され水が不足すると葉先から徐々に乾燥していきます。水やりのタイミングがわかりやすく、育てやすい多肉植物です。
クラッスラ
小さな花を咲かせることもあるクラッスラは、個性的な見た目から人気の多肉植物です。
流通しているものの多くは3〜4cmまでの小型のものですが、中には数メートルにも育つ大型の種類もあります。
種類によって、見た目が全く異なるのでコレクターが多いのも特徴です。
金のなる木
成育タイプ:春秋型
クラッスラの中でも最もポピュラーな品種です。
冬になるとピンク色の花をつけ、華やかな見た目になり、フラワーショップや園芸店でも販売されているのを見かけます。
金のなる木というのは丸い葉の形が硬貨に見えることからつけられた名前ですが、縁起の良い名前なので、贈り物としても人気です。
アエオニウム
アエオニウムは代表的な冬型の多肉植物です。
アエオニウムの多くは茎立ちしており、まるで打ち上げ花火のような見た目からマニアにも人気の種類です。一方で茎立ちしていないものは、季節によって葉の形が変わるものもあります。
品種によって育て方の難易度が全く異なるので、初心者向けのものを紹介します。
黒法師(クロホウシ)
成育タイプ:冬型
個性的なアエオニウムの中でも育てやすい品種です。
茎立ちした上に葉をつけ、まるで花のような見た目が人気の品種です。日の当たる方向に茎を伸ばすので、きれいに育てるためにはバランスよく日に当ててあげましょう。
購入する際も、バランスよく茎立ちしているものを選ぶようにしましょう。
暑さを嫌うので、夏場はなるべく涼しい環境におきます。
まとめ
初心者が多肉植物を育てるための基本知識と、育てやすい種類を紹介してきました。
特に大切な点をまとめます。
多肉植物の育て方のポイント
- 多肉植物の成育タイプを知っておく
- 多肉植物は乾燥を好み湿度を嫌う
- 育てる環境に合わせて育てやすい種類を選ぶ
これらの点をチェックして、まずは初心者におすすめの種類から多肉植物の成育に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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