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植物図鑑

アエオニウムの育て方

アエオニウムは<原産地>がマカロネシア、東アフリカやアラビア半島の一部、カナリア諸島でベンケイソウ科アエオニウム属の多肉植物です。今回は初心者にもわかりやすい内容でアエオニウムの特徴や写真のほか、水やりや病害虫、選び方、増やし方、肥料や用土などの詳しい育て方などを紹介します。

アエオニウムの基本情報

植物名アエオニウム
学名Aeonium
英名Aeonium
科名ベンケイソウ科
属名アエオニウム属
原産地マカロネシア、東アフリカやアラビア半島の一部、カナリア諸島

アエオニウムの特徴

「アエオニウム」は、北アフリカをはじめとするおだやかな気候の地域に約40種類が分布する冬生育型の多肉植物です。園芸向けの品種も多く存在しており、真っ黒な葉が目を引くビジュアルの「黒法師(クロホウシ)」や「まだら黒法師」もアエオニウムの仲間です。冬生育型ではあるものの寒さにやや弱く、高温多湿にも弱いといった特性があります。比較的丈夫で育てやすいため、多肉植物初心者にもおすすめです。いっぽうでみずみずしい多肉の葉を持っているので、乾燥には強く水はあまり必要としません。茎が伸びない小ぶりな品種から大型になる品種まで幅広くあり、葉の色も黒いものや斑入りのもの、赤く色づくものなどさまざまです。多くは茎の先にロゼット状の葉が展開し、まるで花が咲いているような株立ちで上に伸びながら成長していきます。根元に近い茎は株を支えるために硬くなってひび割れし、その見た目も歴史を感じる味のひとつだといえます。種類によっては寄せ植えのメイン、またはアクセントとしても活躍することから、多くの多肉植物ファンに親しまれています。

アエオニウムの詳細情報

園芸分類多肉植物、アエオニウム
草丈・樹高10~50cm(品種による)
耐寒性やや弱い(品種による)
耐暑性やや弱い(品種による)
耐陰性弱い
花色黄色、白、ピンク
開花時期3月~6月(品種による)

アエオニウムの種類

アエオニウム 黒法師

アエオニウム 黒法師

「アエオニウム」の代表品種ともいえる存在で、比較的丈夫で育てやすい種類です。つやのある黒い葉が美しく印象的。樹木のように幹が立ち上がり枝分かれして大型化するので、剪定の仕方によっては形よく分枝させるなど仕立ても楽しめます。夏の休眠期には葉の中心部だけを残して落葉するため、黒い葉色を維持するには長時間直射日光に当ててあげることが大切です。

アエオニウム まだら黒法師

アエオニウム まだら黒法師

「アエオニウム まだら黒法師」は、その名のとおり「黒法師」の仲間ではありますが葉が黒くないタイプの品種です。黄色がかった茶色地に、まるでブラシをかけたようなまだらの濃茶の線が特徴的。寄植えのアクセントにぴったりのビジュアルが魅力です。

アエオニウム サンバースト

アエオニウム サンバースト

緑色の葉に面積の広い黄色やクリーム色の外斑が入る人気種で、寒さが増すごとに葉の縁がピンク色に変化して美しさを増していきます。また日光を長時間浴びることでも、斑のふち部分が日焼けしたようなピンク色に変わる性質を備えています。のこ歯状のギザギザしたふち取りも特徴で、ロゼット自体は直径20〜30cmと比較的大きくなります。

アエオニウム サンバースト

アエオニウム 夕映え

「アエオニウム サンバースト」によく似ていますが、斑の入り方が異なり草丈も40cm程度と少し小ぶりなのが特徴です。季節ごとの葉色の変化がみごとで、新芽が伸びるときには黄色に染まり葉のふちが赤く色鮮やかになります。1年の後半は薄緑の葉に縁が赤い状態が続きますが、1月から初夏にかけての期間はクリーム色の斑が強く入って葉の縁がピンク色に変わる華やかな色合いが楽しめます。

アエオニウム 小人の祭り

アエオニウム 小人の祭り

セダムのように短く小さめの葉っぱが可愛らしい品種「アエオニウム 小人の祭り」。葉は密に付き、小灌木状の茎の先にロゼットが群生してマット状になるといった性質があります。表面はペタペタと粘着質なので、ふれる際には注意が必要です。

写真は準備中

エオニウム 艶日傘(つやびがさ)

斑の入り方は多様ですが、斑入り種のアエオニウムの中でも白色の斑がとてもきれいな品種です。斑の部分が多いと生育が遅くなってしまう点に加え、葉焼けもしやすいので注意してください。休眠期でも水は断水せず、2週間に一度は水やりをします。また戸外栽培は避け、霜が降りる頃には室内の明るい場所で管理するのがよいでしょう。

写真は準備中

アエオニウム 藍染錦(アイゾメニシキ)

緑と白のコントラストがとても鮮やかで、とりわけ美しい「アエオニウム 藍染錦(アイゾメニシキ)」。小ぶりな株も可愛らしい雰囲気を演出し、育てやすくポピュラーな品種なので寄せ植えのアクセントにぴったりです。小さいうちは株元まで葉がありますが、成長するにつれ茎が伸びて下葉が落ちることで一輪挿しの花のような姿に変わります。

写真は準備中

アエオニウム レウコブレファラム

「アエオニウム・レウコブレファラム」の原種は、シシリー島産黒法師の変種です。日光に当てて育てると、寒さが増してきたときに深みのある本来の色彩が出ます。光が少ないと色が出ないため置き場所には気をつけましょう。耐寒性は5度くらいです。

アエオニウムの育て方カレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
植え替え
開花時期
肥料

アエオニウムに適した栽培環境

日当たり・置き場所

「アエオニウム」は日当たりの良い場所を好み、よく光に当てたほうが葉の色がいっそう鮮やかに成長します。湿気に弱いため風通しのよい場所に置き、夏になったら半日陰の涼しい場所へ移して管理してください。日が偏って当たるような環境で育てると、茎やロゼット状の葉が傾いてしまいます。なるべくまんべんなく日に当てることで、春夏は葉焼けの防止にもつながります。

温度

冬に生育する多肉植物にもかかわらず、それほど寒さに強くないため生育温度は8~25℃とされています。高温多湿には弱いので、25℃以上を超える季節には風通しがよい日陰で管理しましょう。鉢植えで育てるなら下にレンガを置くなど工夫し、風通しを意識すると効果的です。

用土

「アエオニウム」を育てるときには、水はけがよく排水性の高い土を選びましょう。保水力は大事ですが、土中の水分が多すぎてしまうと根腐れの原因になります。ブレンドするなら川砂と腐葉土を6:4で混ぜ、赤玉土や鹿沼土を少し加えてみましょう。多肉植物やサボテン専門店で販売されている市販の土も簡単に利用できます。

アエオニウムの育て方のポイント・コツ

水やり

「アエオニウム」の場合、水やりをしすぎると根腐れの原因になり枯れてしまうことがあります。特に春と秋は、表面の土が完全に乾いてからの水やりを心がけてください。6月~9月は休眠期にあたるため、その間は徐々に水やりの回数を減らしていきます。月に1~2回の葉水を与える程度に抑え断水してください。ただし植物の水分を奪うほどの乾燥が続く場合に限り、夕方に軽く散水したり葉水をしたりして植物体の脱水を防いであげましょう。生育期の冬は鉢土が乾いたタイミングに、天気のよい午前中を選んで水やりします。低温期であるため鉢土の乾き具合は遅く、10日に1回くらいの頻度が目安です。

肥料

「アエオニウム」は特に肥料を与えなくても栽培できる多肉植物です。そのため、市販のサボテンや多肉植物用の培養土に含まれている元肥でも十分こと足ります。ただし大きく育てたいのであれば与えてもよいでしょう。その場合は10月~5月ごろの生育期に、リン酸とカリを多く含む液体肥料を薄めに調整して用います。回数は1~2回程度に抑え、過剰にあげないよう注意してください。液体肥料のほか、ゆっくりと効くタイプの緩効性化成肥料を少量だけ与えるのも効果が期待できます。

病害虫

病害虫の発生はほとんどみられませんが、時折茎や葉に「カイガラムシ」や「アブラムシ」、根には「ネジラミ」が発生するケースがあります。カイガラムシは体長3mmほどの小さな虫で、白い綿毛のようなふわふわしたものを背負っている点で見分けます。吸汁を経て成長していくにつれ、体からワックスなどを分泌して自分を守ろうとする性質があります。それによって株が衰弱し、そのまま枯れてしまう可能性があるので注意してください。アブラムシは2~4mmくらいの体長で、幼虫・成虫ともに葉やつぼみを吸汁します。群生する習性を持ち、被害が拡大しやすいので早めの対処が求められます。

アエオニウムの詳しい育て方

選び方

葉だけの苗と株立ちの苗が流通しており、株立ちのものは樹形の個体差が大きいので好みのものを選びましょう。購入する際は土が湿りすぎてコケが生えていないこと、株がぐらついていないこと、葉っぱが傷んでいないこと、色が美しく発色していることなどに着目してみてください。

剪定・切り戻し

分枝させたいとき、丈を抑えたいときなどには剪定を行います。茎が長く伸びすぎてしまった場合、低い位置からの分枝を促してあげると形のよい株に育てることができます。剪定や切り戻しをするのであれば、適期は10月~3月とされています。

植え替え・鉢替え

秋から春にかけての生育期が植え替えにもっとも適しています。梅雨の期間や真夏に行うと根が傷む原因になるため、できるだけ避けるのがおすすめ。土をしっかり乾かしておくと植え替え後に根が張りやすくなるので、水やりは1週間ほどおいてから与えましょう。根詰まりしていたら古い根をカットし整理してから植え付けます。使用するハサミは消毒して、使ったあとも消毒をしてから片づけてください。

開花は春の時期ですが、毎年必ず咲くというわけではありません。「アエオニウム」のほとんどは、ロゼット状をした葉っぱの中心部から花茎が伸びて花が開花します。花が開花すると茎が枯れてしまうことがあり、複数の枝を持っているようであれば早めに花茎を剪定したほうがよいでしょう。花色は多彩ですが、たとえば「小人の祭り」は明るい黄色の小さな花を咲かせます。

夏越し

夏は風通しのよい半日陰の場所に置いて管理し、鉢がくっつきすぎないようにして育てましょう。強い光に弱い種類には日よけを施すなど、真夏の直射日光を避けてください。いずれの種類も長雨に当てないよう気をつけ、水やりは控えます。与える場合は月1回程度、土の表面が湿るくらいの量が適しています。

冬越し

「アエオニウム」は冬型の多肉植物ではあるものの、極端な寒さにも耐えるわけではありません。一般的には5℃以下にならないよう留意し、冬場は室内へ取り込んで晴れた日の日中には適度に日光に当てるといった工夫をしましょう。品種によって体感温度に差があるので、冬越しの前にそれぞれの耐寒温度を確認してください。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

「アエオニウム」は挿し芽によって増やすことができます。先端から10㎝くらいの長さでカットし、そのまま2~3日切り口を乾かしてから乾いた土に挿しましょう。1~2週間ほどすると根が出てくるので、それから挿すという方法も知られています。挿してすぐではなく、1週間程度期間を空けてからの水やりがベストです。

挿し芽の時期

「アエオニウム」の挿し芽には春か秋の時期が適していますが、特に秋に行うのがおすすめします。夏に休眠する多肉植物のため、春遅くに挿し芽をして根付く前に夏を迎えると、夏越しが難しくなってしまうことがあります。

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