「花が咲く多肉植物を育てたい」とお考えではありませんか?
花が咲く多肉植物だとしても品種による咲きやすさと生育型で開花時期が異なります。
生育型とは、春秋型・夏型・冬型といった3つの型です。例えば夏型のセダムだと6〜8月の暖かい初夏に開花しますが、冬型のリトープスは寒くなる12月くらいに花が咲きます。
花が咲く多肉植物なら、受粉作業が成功したら種が採取できるかもしれません。しかし花を咲かせるためには多肉植物のエネルギーを消耗するので、品種ごとの特性や花が咲いた後どうしたら良いのかを知っておくことも大切です。
今回は、花が咲きやすい多肉植物の人気品種を紹介します。
多肉植物に花が咲くのはいつ?
多肉植物に花が咲くのは、休眠期が終わった成長期の初期が多いです。つまり、多肉植物の開花時期は成長期が目安となります。
多肉植物の成長期は、原産地の気温・気候に近い季節です。生育型ごとの成長する季節と目安温度を確認してみましょう。
生育型 | 成長期 | 目安温度 |
---|---|---|
夏型 | 春から秋(4月~6月・9~10月) | 20~30度 |
冬型 | 秋から冬(11月~4月) | 5~20度 |
春秋型 | 春および秋(3~5月・10~11月) | 15~25度 |
夏型であれば5月から6月の初夏にですが、冬型だと気温が低くなり始めた11月あたりに花が咲きやすいです。
春秋型だと春または秋に咲く場合もありますが、品種によっては二季咲きをする場合があります。
多肉植物の開花時期がわからなくなった時には、成長期を目安にしてみましょう。
多肉植物の花を咲かせるコツ
多肉植物の花を咲かせるには、基本を守って適切に育てましょう。なぜなら花を咲かせるには、エネルギーを大量に消費するからです。多肉植物がエネルギーを蓄えるためには、日光と水やりといった基本的な育て方に気をつけなければなりません。
冬場でも日中の暖かい時間帯は窓辺で日光浴をさせると、光合成ができて元気に育ちやすいです。気温が低くなる夜は室内でも窓辺の気温が下がるため、窓辺に移動させた後は忘れないように元の場所へ戻しましょう。
そして、多肉植物は観葉植物よりも水を控えめに与えることで健やかな状態を保てます。生育期の水やりは、表面の土が完全に乾いて数日経過したくらいが水やりの目安です。生育期以外の休眠期の水やりは、月に1回程度を目安にします。
多肉植物の花を咲かせるためには、冬場でも暖かければ日光浴をさせたり水をやりすぎないように気をつけたりするといった育て方の基本を守りましょう。
花が咲く春秋型の多肉植物10選
ここからは、花が咲く春秋型の多肉植物を10種類紹介します。
春秋型の多肉植物は、15〜25度の春と秋によく育つのが特徴です。流通している多肉植物の6〜7割程度が、春秋型に分類されています。
寒くも暑くもない気候で育ちやすいなら、寒さと暑さに弱くて育てにくいのかというとそうでもありません。
春秋型のエケベリアは0度くらいまで耐えられますし、クラッスラなどは夏の暑さに強い品種でもあります。よく育つ温度と寒さや暑さに弱いかどうかは別なので、耐寒性や耐暑性が気になる場合には品種ごとに確認してみましょう。
エケベリア
エケベリアは多肉質な葉が花のように広がる見た目から、多肉植物界のバラと称されます。流通している品種は1,000種類を超えており、知名度の高い多肉植物です。
エケベリアは品種によって、ピンク・オレンジ・黄色・茶色・褐色・赤色など様々な小輪の花が咲きます。開花時期も2〜8月と幅広く、品種や栽培状況による違いが大きいです。
エケベリアの花言葉は「優美」で、バラのような姿が由来だと考えられています。もう一つの花言葉は「たくましさ」であり、手を加えなくても育ちやすい丈夫さが由来です。
花うらら
花うららは、エケベリア属に属しています。青緑色の葉にブルームがかかっており、ロゼット状の葉が広がって成長することが特徴です。春から秋にかけて、株脇から細長い茎を伸ばして黄色またはオレンジ色の花を咲かせます。
エケベリアに属する多肉植物は寒さと暑さに強い品種が多く、花うららも寒さと暑さに強くて育てやすい品種です。
1年を通じてほとんど屋外で育てられますが、霜が降りるような極寒期には屋内に取り込むほうが無難です。
セダム
セダムは北半球に広く生息しており、日本でも山や海岸地の岩上といった身近に見られる多肉植物です。5〜8月に、5枚の花びらをつけた黄色い花が咲きます。
セダム属は400種類以上確認されており、いずれも丈夫で育てやすいことから放置していても枯れることはあまりありません。
セダムの花言葉は「私を想ってください」「星のかがやき」「静寂」「枯れることのない愛」です。花言葉の「私を想ってください」は放置気味で育てられるセダムの気持ちを代弁した言葉が由来です。
虹の玉
虹の玉は、セダム属の交雑種です。性質が丈夫なうえに大きくなっても15cmほどのコンパクトなサイズ感から、寄せ植えにもよく利用されています。寒さと暑さに強いため、霜が避けられる場所であれば庭植えにすることも可能です。
株がおおよそ成長している虹の玉は、星型の黄色い花を5~6月頃に咲かせます。花が咲いた後は、子株ができることも特徴です。
虹の玉のジェリービーンズのような葉は、秋から冬にかけて虹色に紅葉します。綺麗な紅葉を楽しむためには、しっかり日光に当てることが大切です。
クラッスラ
クラッスラはサイズや成長の仕方など、多様な品種が600種類以上も確認されています。草丈は2cmから1mにまであり、群生して育つものから垂直に伸びる品種など様々です。
クラッスラ属に分類される多くの品種は白またはピンクの花が咲きます。花は茎に集合して咲く場合が多いですが、品種によっては花が目立たない場合があります。開花時期も4月から12月まで、品種と生育環境によって幅広いです。
クラッスラの花言葉は「幸運を招く」「富」「一攫千金」「不老長寿」となっています。お金にまつわる花言葉が多いのは、クラッスラ属に金のなる木が分類されているためです。
ゴーラム(宇宙の木)
ゴーラムは、宇宙の木という別名がつけられています。緑色でツヤ感のある葉はマカロニのような形状で、独特な姿が別名の由来です。
ゴーラムは独特な見た目に反して、薄ピンク色で星型の可憐な小さな花を咲かせます。開花時期は春から秋ですが、大型に成長した株でも滅多に花が咲きません。開花の仕組みについて不明な部分が多いことから、ゴーラムは種を残す時に開花が必要ない植物といわれるほどです。だからこそ、育てているゴーラムが開花したら嬉しさも大きくなるでしょう。
金のなる木
金のなる木は、クラッスラ属に分類されます。野生では乾燥や低温に晒される厳しい環境で育っているため、丈夫で比較的育てやすいです。
日本で最初に金のなる木を販売した業者が、お金がなっているように見える姿で販売したことが名前の由来となっています。若葉の先に5円硬貨を通して、そのまま成長させた姿を見たことがあるかもしれませんね。
金のなる木は、子株でも花が咲きやすい品種と大株にならないと花が咲きにくい品種があります。開花時期は11~翌2月で、花の色は白またはピンク色です。
アナカンプセロス 桜吹雪
アナカンプロセス 桜吹雪は、同じ属の吹雪の松にピンク色の斑が入った品種です。多肉植物には紅葉する品種がありますが、アナカンプロセス 桜吹雪は秋から冬にかけてはっきりとしたビビッドピンクの季節斑が入ります。コンパクトで成長がゆっくりとしているうえにアクセントとなる葉色なため、寄せ植えの素材としても人気です。
アナカンプセロス 桜吹雪の花も、ビビッドピンクです。5~6月のたくさん日光が当たる午後の数時間のみ、開花します。
アナカンプセロス 桜吹雪の花言葉は「枯れない愛」「燃える心」です。
センペルビウム
センペルビウムは、薄くて固い葉がロゼット状に広がる多肉植物です。エケベリアと同じように華やかな見た目をしていますが、葉の厚みと固さが異なります。
センペルビウムの花は色は白またはピンクで、尖った花びらを持つことが特徴です。開花した後は株が弱りやすくなるので、花を長く楽しみたい場合以外は早めに花芽を摘み取りましょう。開花時期は2~7月頃で、花茎を伸ばして咲かせます。
ゴールドナゲットや巻絹、レグニ、バニラシフォンなど、センペルビウムの派生種は豊富です。葉の色や形、成長の仕方まで様々なので、好みの種類を選んで楽しんでみましょう。
グリーンネックレス
グリーンネックレスは名前の通り、グリーンピースのような葉が連なるつる性の多肉植物です。つる性ですが自ら巻きつくわけではなく、垂れさがるように成長します。ハンキングプランターで吊るして栽培すると、葉が下垂する姿とグリーンネックレスの成長を楽しめます。
グリーンネックレスは生育環境が整っていれば、9~11月に1cmほどの小さな白い花が咲きます。ほのかな香りがあるので、花の香りで癒しを感じたい人にもおすすめです。
夏型・冬型の多肉植物の花もおすすめ
ここからは、夏型・冬型の花が咲く多肉植物を紹介します。春秋型だけでなく、夏型と冬型の多肉植物も花を咲かせるので好みの品種を確認してみましょう。
夏型は熱帯気候が原産地の品種が多く、20〜30度の暖かい気温で良く育ちます。どちらかといえば観葉植物と似た育ち方をするため、多肉植物初心者の方にも育てやすいです。
一方で冬型の多肉植物は5〜20度で良く育ちますが、寒さに強いという意味ではありません。特に寒い日には、屋内に取り込むようにしましょう。
次の項目からは、具体的に花が咲く夏型・冬型の多肉植物を紹介します。
アデニウム(砂漠のバラ)
アデニウムは、根や幹に水分を蓄える性質を持つ塊根植物のひとつです。春から秋まで1日6時間以上日光に当てると、健やかに育ちます。野生では砂漠などの乾燥地帯に生息しているため、耐暑性は比較的強いです。
開花時期は4~9月で、桜が散った時期から葉が芽吹くことが多いです。冬でも20度以上で栽培していると、開花する場合があります。
花の色はピンク・赤・白です。花がバラのように華やかなため、砂漠のバラという別名が与えられました。
ユーフォルビア
ユーフォルビアは2,000種類以上の豊富な属であり、そのうちの500~1,000種類が多肉植物に分類されています。ユーフォルビア属で花が咲く夏型多肉植物として有名なのは、オベサやメロフォルミス、ホリダなどです。
見た目がサボテンに似ている品種がありますが、サボテンではありません。
花の色は白・赤・ピンク・オレンジ・黄色など、品種によって様々です。
控えめな印象の花を表すように、ユーフォルビアの花言葉は「ひかえめ」「地味」「明るく照らして」となっています。
アガベ(リュウゼツラン)
アガベ(リュウゼツラン)は、ロゼット状に広がる尖った葉が美しい夏型の多肉植物です。300種類以上の品種があり、直径5cm程度のコンパクトな品種から5mを超える品種まで分類されています。
アガベの花の色は、グリーンやオレンジ、白などが多いです。アガベ属に属する多肉植物は、開花まで十年から数十年かかる場合があることも特徴です。開花までの長い期間を表すように「100年に1度の花」や「センチュリープラント」という別名がついています。
リトープス
リトープスはメセン(女仙)の代表的な属であり、岩に擬態している見た目がユニークな冬型の多肉植物です。
メセンは男性的な印象のサボテンの対称的な存在として、名付けられました。トゲトゲしたサボテンに対して、メセンはつるつるで様々な模様を纏っています。
リトープスの開花時期は、11〜1月です。昼間の明るい時間帯は花が開きますが、夕方や夜になると花を閉じます。松葉ボタンのような見た目で、花びらが細いことが特徴です。
モンソニア・ヘレー(竜骨城)
モンソニア・ヘレー(竜骨城)は、幹に生えた鋭いトゲと地面を這うような様子がユニークな冬型の多肉植物です。成長がとてもゆっくりなため、盆栽風にも楽しめます。
南アフリカの砂漠に自生しているため、健やかに育てるためには乾かし気味に育てましょう。休眠期だけでなく、生育期にも水のやりすぎに注意します。
モンソニア・ヘレーの花は白かクリーム色で、見た目とは真反対な柔らかい印象です。花が咲く前にたっぷりと日光に当てておくと、花の発色がはっきりとして美しくなります。
多肉植物に花が咲いた後は切るのが正解?
多肉植物が花を咲かせる時にはたくさんのエネルギーを消費するため、花が咲いた後は切るのがおすすめです。多肉植物に花が咲いている状態を楽しみたいかどうかで、花を切る最適な時期が異なります。
多肉植物に花が咲いている状態を楽しみたい場合には、花茎が少し伸びてきた時期でのカットが適しています。カットした花茎を水に挿しておくと、育てている多肉植物が枯れる心配をせずに花を楽しむことも可能です。
多肉植物が弱っていたり花を見なくても良かったりする場合には気付いた段階でなるべく早めにカットしましょう。「花を咲かせるにはエネルギーを使うから、株に体力があるんじゃないの?」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、瀕死の状態でも花が咲く場合があります。理由は、弱っていても子孫を残すことを優先するからです。
多肉植物を弱らせないためにはなるべく早めに花を切ったほうが良いですが、カットした花を楽しむ方法はあります。考え方に合わせて多肉植物の花を楽しんでみましょう。
まとめ
この記事では、花が咲く多肉植物をご紹介しました。
花がない姿を楽しむと思われがちな多肉植物ですが、どの生育型にも花が咲く種類があります。大きくて華やかな花もあれば小さくて控えめな花などもあるため、花が好きな人にも多肉植物の栽培は楽しみやすいです。
多肉植物が花を咲かせるためにはエネルギーをたくさん消費するため、苗の健康を優先するなら早めに花茎をカットしましょう。
カットした後の花茎は水に挿しておくと長く楽しめるので、お部屋に飾っておくのも華やかで素敵です。花が咲く多肉植物の栽培を楽しんでみましょう。
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